(案)
いわき市アウトソーシング( OS)推進に関する基本指針
平成 18 年 11 月 いわき市
Ⅰ 基本指針策定の趣旨
1 アウトソーシングとは
「アウトソーシング(Out Sourcing)※ 」は、従来、民間企業における業務の外注 化を指す意味で用いられてきましたが、近年、「小さな政府」を志向する国の方針の中 で、公的分野における規制緩和の推進とこれに伴う官製市場の民間開放を進める際の 考え方や手法を表現するキーワードとして大きく取り上げられるようになっています。
※ アウトソーシング:民間企業においては、組織の中核となる分野以外の分野を外注化することで、 限られた自己の経営資源を最も競争力のある分野(コア・コンピタンス≒中核 的業務)に特化することを目的とした手法を指すものとして用いられています。
2 市のこれまでの取組み
○ 本市においては、「アウトソーシング」という言葉が広く浸透する以前から、効率 的な行財政運営を図る観点から、「民間活力の活用」あるいは「民間委託の推進」を 行財政改革の重要な取り組み項目として位置づけ、様々な事務・事業について積極 的に民間委託を進めてきました。
○ また、平成15年度地方自治法改正により創設された公の施設の管理運営に係る
「指定管理者制度」についても、その積極的な活用を基本とした『いわき市公の施 設の指定管理者制度導入に係る基本方針』を策定し、平成18年4月から全庁的に 新制度を導入するなどの取組みを行ってきたところです。
3 アウトソーシング推進の背景と必要性
⑴ 第5次市行財政改革の推進
○ 平成18年度から平成22年度までを推進期間とする『第5次市行財政改革大 綱(以下「大綱」)』及び『行動計画』においては、「自主・自立の行財政運営の確 立」を目的に「積極的で大胆」に行財政改革を推進するため、90項目の改革・ 改善項目を位置づけ、その改革・改善項目のひとつとして、民間活力の活用の推 進と職員人件費の削減を改革の成果(目標)とした「アウトソーシング計画の策 定」を位置づけています。
資料 2
⑵ 市民サービスの維持向上と団塊の世代の大量退職
○ より少ない職員でこれまでと同じ行政水準を保っていくためには、職員個々の 資質向上に努めることはもちろんですが、業務執行に当たっての「仕事のしかた」 や「仕事のしくみ」等についての検証を行い、より効率的・効果的な業務執行の あり方を追求しながら、市民サービスの維持向上に努めていく必要があります。
○ また、大綱の推進期間は、これまで市の主軸として活躍してきた「団塊の世代」 の職員が大量に退職を迎える時期と重なることから、これらの職員が行政のプロ として長年にわたり蓄積してきた、業務執行における知識や経験等のノウハウを 十分に引き継いでいく必要があります。
⑶ 市民と行政の「協働」の推進
○ 市職員のみならず、大量退職を迎える「団塊の世代」の皆さんは、今後の住民 活動における「マンパワー」、あるいは行政との協働における「パートナー」とい った「官民協働の担い手」として期待されるところです。
○ したがって、新・市総合計画に掲げられているとおり、市民と行政の「協働」 を一層推進する観点から、公共サービスの実施主体を民間事業者等に限らず、NPO やまちづくり団体をはじめとする市民公益活動団体等にも委ねていく視点が必要 です。
本指針は、こうした状況を十分に踏まえ、今後4ヵ年におけるアウトソーシング推 進に当たっての市の基本的な考え方を取りまとめ、市民の理解と協力を得ながら取組 みを進めていくことにより、大綱が掲げる「自主・自立の行財政運営の確立」という 目的の達成に資するために策定するものです。
Ⅱ アウトソーシング推進に当たっての基本的な考え方
1 基本的視点
○ アウトソーシングの推進に当たっては、市が直面している「厳しい財政状況」や
「職員数の削減」といった、一般では「危機」として捉えられがちな状況を、新・ 市総合計画や大綱が目指す「新たな行財政運営システムの構築」に向け、市のしく みを変える絶好の「機会」として前向きに捉える発想の転換が不可欠です。
○ そのうえで、これまで「民間委託等の推進」において重視してきたコスト削減の 視点を基本に、行政経営的な視点を加え、市が有する限られた「ヒト・モノ・カネ」 といった経営資源を最大限に活用するために、業務の効率化はもとより、可能な限 りこれら資源の集中化と業務の外注化を進め、市民サービスの維持向上に努めてい くことが必要となります。
○ 一方、アウトソーシングの推進が、行政(職員)の専門性、民間事業者等に対す る指導力やチェック機能、緊急事態への対応能力を低下させたり、委託費用を高水 準に維持する結果をもたらすなど、適切な行政責任が果たすことができない事態に 陥ることのないよう、留意していく必要があります。
2 アウトソーシング推進の目的
基本的視点を踏まえ、大綱が掲げる「自主・自立の行財政運営の確立」に向けて、 次に掲げる3つの目的を達成するため、市職員が直接執行している事務・事業及びこ れに付随する業務(以下「事務・事業等」)を対象として、その一部又は全部を外注化 すること、又は非常勤職員の活用等により業務の再構築を行うことを「アウトソーシ ング(以下「OS」)」として位置付け、その積極的な推進を図っていくこととします。
⑴ 行財政改革の目標達成
現下の厳しい財政状況を踏まえ、大綱が掲げる「自主・自立の行財政運営の確立」 に向けて、OS を推進していきます。
⑵ 市業務の再構築
より少ない職員で行政サービス水準を維持するため、OS の考え方を取り入れ、事 務・事業等を執行するに当たっての業務の内容や執行体制等を検証し、より効率的 で効果的なものとなるよう、その再構築を図っていきます。
⑶ 市民と行政の「協働」の推進
市民と行政の「協働」を推進するため、市民と行政との役割分担を明確にすると ともに、市民公益活動団体等幅広い担い手に委ねていく視点を加えながら、OS を推 進していきます。
Ⅲ アウトソーシングの推進方法
1 推進の視点
個別の事務・事業等ごとに、次の表に掲げる4つの視点に基づいた検証を行ったう えでOS 導入の是非を判断するとともに、この視点に沿って可能な限り達成すべき目標
(効果・成果)を指標化していきます。
OS 推進の視点(目的)
検討内容
(OS実施に よる効 果・成果 として 見込む べき目標 )
視点1
サービス水準の維持向上
(顧客主義の視点)
市場原理の導入、民間事業者や市民団体等が有す るノウハウの活用等により、現行サービス水準の 維持向上が見込まれるか。
視点2
コスト削減
(財務の視点)
事務・事業等の執行に係るコスト※ 削減が見込ま れるか。
視点3
業務の再構築
(業務プロセスの視点)
事務・事業等の統廃合、又は職員配置や業務プロ セス等の見直しにより、業務の効率性・効果性の 向上が見込まれるか。
視点4
市民協働の推進
( 市 民 と 行 政 の 役 割 分 担 の視点)
事務・事業等の実施主体を市民公益活動団体等に 委ねることにより、その活動の活性化や自立の促 進などが図られ、市民と行政の協働によるまちづ くりが推進できるか。
※ 直営の場合の事業費(決算ベース)と事業に従事する職員の人件費の合計額 を捉え、OS を実施した場合のコストと比較することが基本となります。
2 検討対象の重点化
重点的にOS を推進すべき事務・事業等については、大綱を踏まえ、次に掲げる項目 を基準として抽出し、OS 導入に向けた検討を行っていくこととします。
※ 公の施設の管理運営について直営方式を採用している施設については、「市公の 施設の指定管理者制度に係る基本方針」に基づき、制度移行時における「管理運 営の方向性」として、当面直営方式を維持し、引き続き管理方法の見直しを図る こととしたことから、今回、改めて指定管理者制度導入の検討を行うこととしま す。
○ 直営により管理運営が行われている公の施設の管理運営に係る事務・事業等※
○ 嘱託職員、非常勤職員、再任用職員の活用が見込まれる事務・事業等
○ 執行に当たり極めて高い専門性を要し、従事する人材の確保・育成を継続的に行うこ とが困難な事務・事業等
○ 定型的(単純な労務の提供業務を含む)な事務・事業等
○ 時季により繁閑の差が著しい事務・事業等
3 実施計画の策定
市民の理解と協力を得ながら、着実にOS を推進していくため、本指針に基づき、市 がOS を推進するための具体的な取組み内容をとりまとめたアクション・プログラムと して「実施計画」を策定・公表します。
(1) 位置付ける内容
OS を推進すべきものとして抽出した個別の事務・事業等を位置付けます。あわ せて、次に掲げる項目を基本として、その検討の方向性等を明示します。
① 成果
○ OS 推進の4つの視点の中から、最も効果が期待できる視点を、OS 実施に よる「成果」として位置付け、明示します。
サービス水準の維持向上、コスト削減、業務の再構築、市民協働の推進
② 実施方法
○ 成果を達成するために、最も有効と考えられる実施方法を明示します。 業務委託(全部・一部)、民間移譲、指定管理者制度、職員の非常勤化 等
【参考】市行財政改革大綱・抜粋 7 民間活力の活用
効率的な行財政運営や民間活力の有効活用等を図るため、適正な管理監督 のもとに、行政責任の確保や市民サービスの維持向上等が図られることに留 意しながら、民間委託等を進めるなど、民間活力の活用の推進に努めます。 (1) 事務・事業の民間委託等の推進
あらゆる事務・事業のうち、その内容が次に掲げるものについては、積 極的に民間委託やパートタイマーの活用等を推進します。
・専門的知識や特別な技術を必要とする業務で人材確保が困難なもの
・一定の時間や期間内に処理する業務で恒常的に職員を確保する必要がな いもの
・単純な労務による処理が可能なもの
・関係団体等に委託することにより自治意識や共同意識が醸成・高揚され るもの
・その他、民間に委託した方が効率性や経済性が期待できるもの (2) 施設の管理運営等への民間活力の活用
施設の管理運営に当たっては、より良いサービスを効果的・効率的に市 民に提供するため、市の責任と適正な管理・監督のもと、指定管理者制度 の導入、業務委託、パートタイマーの活用等を推進するとともに、地域住 民等によるボランティアの参画を図ります。
③ 委託先等
○ 成果を達成するために、最も有効と考えられる委託先等を明示します。 民間企業、市民活動団体、外郭団体、地域づくり団体 等
④ 契約形態等
○ 成果を達成するために、最も有効と考えられる契約形態等を明示します。 競争入札による契約、随意契約、長期継続契約 等
⑤ 時期等
○ OS 実施に向けた検討スケジュールや実施目標時期、検討・実施主体となる 部所等を明示します。
(2) 推進期間等
○ 「実施計画」の推進期間は、第5次市行財政改革の推進期間との整合を図る ため、平成19年度から平成22年度までの4年間とします。
○ ただし、今後のOS 対象事務・事業等の抽出作業等のなかで、平成23年度以 降のOS 実施が明らかなものが抽出された場合は、推進期間にかかわらず、長期 的にOS を実施するべき項目として「実施計画」に位置付けることとします。
(3) 進行管理
○ 「実施計画」の進行管理については、毎年度その進捗状況等をとりまとめ、 公表することとします。
○ また、推進期間中に新たにOS 実施を検討すべき事務・事業等が抽出された場 合は、随時新規項目として「実施計画」に追加し、進行管理を図っていくもの とします。
4 留意事項
(1) 要求水準の設定
OS 実施後の目標達成の度合いを測るため、当該事務・事業等を受託する民間事 業者等に求める業務水準やサービス水準を明確にします。
(2) 契約等に当たっての留意事項
OS を効果的に推進するため、契約や協定を締結するに当たっては、次の点に留 意します。
① 仕様書等において、民間事業者等に求める業務水準やサービス水準を可能な 限り具体的に明記します。
② 双方のリスク分担の範囲を明確にするとともに、契約等の履行過程において、 市の管理監督が十分に働くよう留意します。
③ 個人情報保護をはじめとして守秘義務を課すものについては、契約や協定に おいて明確に規定します。
④ 事務内容や経費の硬直化を未然に防ぐため、可能な限り競争原理を確保する 観点から、現在随意契約で行っている業務について競争入札の導入を進めるほ
(3) 定期的な検証・評価体制の検討
○ 新たにOS を実施する事務・事業等のみならず、これまでに民間委託等を実施 した事務・事業を含め、要求水準の確保やリスクを予防する観点から、OS の実 施状況を定期的に検証・評価する仕組みを別途検討していきます。
○ あわせて、民間事業者等に対する指導力やチェック機能を維持する観点から、 行政(職員)の専門性を維持していく方策を検討していきます。